double B side

Prologue

アルバ暦809年、盃の月。  大陸最西端に位置するムスペル地区、その上空がひび割れた。 空の亀裂から現れたのは、禍々しき暗灰色の翼を持つ巨大な竜「ニーベルング」。 彼らの侵攻と同時に、ムスペル地区は毒の霧「ニブル」に覆われた。 ニーベルングの襲撃、ニブルによる未知の病の拡散。 政府が成す術もなくムスペル地区を放棄する一方で、 ニブルの調査員数名がニーベルング機関「グングニル」を組織しこれに対抗した。 彼らはニーベルングに唯一有効な武器・「魔ガン」を開発し、 魔ガンを使いこなせる優秀な人材を確保、育成し、戦術を確立させた。 ニーベルングとグングニル、両者の勢力は拮抗。膠着状態に陥った。  アルバ暦826年、聖の月。 膠着状態は突如として崩壊する。これまでにないニーベルングの大襲撃により、 ムスペル地区の近東に位置するヘラ地区が一夜にして壊滅。 グングニル西部支部を置き、第一防衛ラインとして機能していたヘラは、 その日を境に高濃度のニブルに覆われ、ニーベルングの巣と化した。 グングニルは、事実上西部からの撤退を余儀なくされたことになる。  それから十数年が過ぎた。  ニーベルングは東へ侵攻を続けている。  空からは鳥が消えた。  ニブルは大陸各地で発生、隣人は当然のように病に倒れる。 そういう世界が人々の当たり前になろうとしていた。  834年、冠の月。グングニル小隊第八番隊発足。    837年、種の月。世界が動く。